「その時代のニーズを掴み、培った技術を使い手の立場にたって惜しみなく発揮していきたい」
有限会社鈴仙 鈴木 功

★鈴仙のブランドイメージ

4つのSIN「真、信、新、心」

真:ゆるぎない培われた技術力

信:お客さまとの信頼関係

新:新しいものへの挑戦

心:真心のこもったものづくり

エコロジーへの取り組み

詳細は『鈴仙』ホームページにてご覧ください。

http://www.suzusen.co.jp/ecorep.html

■お仕事の内容について教えてください。

デザイン:
社内でスケッチ、写真等から型紙 サンプルを製作します。
制作加工:
皮の裁断 その他材料を揃えて、職人さんへ加工依頼。素材が高いので、社内での裁断が非常に重要になってきます。
検  品:
出来上がった商品は、1本1本熟練の女性が、丁寧に検品をします。自分が使う身になって行なっています。
販  売:
デパート、問屋、専門店、イタリーブランド国内生産(OEM)と、一部ではショールームにて販売もしております。

■商品の特徴はどんなところですか?

以前は、素材そのもので売れていた時代から、“素材 + デザイン + 機能性”を重視した商品づくりを心掛けています。
イタリーブランドの国内生産を10年前からやっており、ヨーロッパの加工技術も商品の中に生かされている。特に切れ目 磨きの技術は、スーパーブランド品と比較しても負けません。 その技術を生かして、2006年に【極めればクロコ】「クロコのステーショナリーシリーズ」 を立ち上げ、こだわりを持つ男性向け商品を発表、ネット上での問い合わせ注文が結構あります。

今取り組んでいるのが、「エコレザー」のクロコダイル製品です。
日本環境協会のEマークの認定には、クロコダイル皮革及び爬虫類皮革は、認定皮革に入っていませんが、将来に向けて爬虫類革も時代に則った開発も必要になってくる事でしょう。当社では、爬虫類の革屋さんと共同してクロコダイルのエコレザー革の開発と同時に、ハンドバッグ製品の加工に、付属材料もECO素材を使って昨年11月に発売にむすびつけました。
日本皮革技術協会認定 ECOレザークロコダイル 皮革産業連合会認定JESマークの使用許可を頂きましました。

ブランド名「Eco-rep」エコ-レップ
※repとは(reptile【レピタイル】:爬虫類)の略です。

■貴社の強みは何ですか?

1.私自身が“職人”という事です。

ものづくりの原点に戻って、自分自身が納得できる商品と、納得した技術を職人さんに指導してから商品化します。自分も楽しんで作っています。

2.他社との差別化を意識しています。

3.オーダー対応OK メールで丁寧に対応しています。

4.ハンドバッグ、小物、ステーショナリー等の商品ばかりでなく、家具や傘等、革とのコラボOK

5.当社で作った商品の皮革その他金具等の、長期保管によるメンテナンスの充実

■修行時代のお話を聞かせていただけませんか?

東京神田生まれで、この業界に入るとき職人の世界にどっぷり浸かろうと、あえて住み込みで技術を覚えようと、職人さん宅へ住み込みました。2軒目の爬虫類の職人さん宅での住み込みは、とても大変でした。
本来なら中途半端の年齢の人間を使うつもりは無かったのでしょうが、義理ある人の紹介で使う羽目になったようです。入ってみて分かったのですが、丁稚奉公している先輩たち全員が私よりは若く、技術も上です。当然仕事、私生活でもギクシャクしてしまいます。

入社?して半年ぐらい経った時、親方がフランスへ技術の勉強に3ヶ月行くことになり、仕事の責任者として任せるからしっかり頼むと云われた。戻ってくるまでの間、売上を落とさないよう仕事の段取りを決めたりしていくと、どうしても先輩達と摩擦が起き、親方が帰国した時、一番腕のいい先輩(私より4歳年下)が親方にもう私とは一緒に仕事をしたくないから、辞めさせて欲しいと訴えた。その時親方が言った言葉が、アイツはもうすぐ出て行く人間だから我慢しろと、なだめたそうです。(私がメーカーとして仕事を始めてから、辞めたいといった彼が鈴仙の看板職人として長年手伝ってくれました。残念ながら60歳の時亡くなられました。)

一年の約束で入って既に1年半ぐらい経った時、そろそろ出たいのでと、紹介してくれた人を通して親方に話し、さっさと独立をしてしまいました。当然親方としたら面白くなかったかと思います。 いざ独立して、仕事をしながら家事をする大変さを親方にこぼすと、親方が何気なく夕方刺身やらおかずを持って来て、ポンと置いてすぐ帰ってしまいます。 私の前に独立した先輩方が7名いましたが、フランスでのクロコダイルの技術を一番教えてくれたと思います。また先輩達は親方絶対であり、言うこと全てを受け入れたりする為、逆に物足りなさ面白くも無かったようで、次第に何かにつけて私との話合いが多くなり、59歳の若さで亡くなられる時、枕もとで私を呼んでくれたのが今でも心に残っています。

■職人になって良かったと思うことは?

自分で作りたいものが作れることですね。ハンドバックに限らず、いろんなものを作ってきました。特殊なイスに張る革や、22年位前、来日したソビエトの有名なピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルが長年愛用していたカバンが相当痛んでいた。海外演奏に出かけた国々で修理出来る職人を探しても断られてしまう程のやっかいなカバンでした。
そのカバンは若い時、ヨーロッパの貴族から頂いたものだそうで、4段重ねの重箱みたいな綿密なカバンでした。カバンの木枠が出来れば何とかしたいと木工職人さんとチームを作って、夜な夜な集って1ヶ月後、ピアニストが帰国する前に手渡すことが出来ました。
その時のノウハウは今でも色々なもの作りに生かされています。これが今の事業の糧になっていると思います。

■職人として心がけていることは?

「もう一度職人に戻ろう!」です。
独立時の、職人としてメーカーから仕事をもらって作ることから、ゆくゆく職人を抱えてくるようになり、メーカーの親父さん的な動きになってきましたが、付加価値を求められている時代に対応するには、原点に立ち戻って対応したものづくりに自由に動ける立場になる。そう心がけています。
クロコのステーショナリーシリーズが、ジャパンフェア(フランス)で選ばれるほど実績が認められた証であると思います。

■従業員は何名いらっしゃいますか?

これまで、会社で4名の職人(社員)を育ててきました。
その内2名が店を出し、うち1人は雑誌に出るほどの職人に成長しました。 ご紹介しておきましょう。

鮎藤革包堂(神楽坂)
URL:http://www.ayufujikakuhoudo.com/

自分で作って、自分で売っていくスタイル...
それが、これからの技術の継承に繋がると確信しています。

■得意技術について教えてください。

限られた素材をどう活かすか。常に研究しています。
基本的な捉え方...

デザインより機能性(軽さ、作り、使いやすさ)を重視しています。
そして、その上で+デザイン

と、考えています。

■職人になっていなかったらどのように?

サラリーマンを3年やって将来の自分の姿が見えた様で、そのままサラリーマンでいたら非鉄金属の中堅の企業でせいぜい部長くらいまでか…。
すでに定年を過ぎ、たぶんシルバー人材センター登録で何かやっているくらい。でもこの仕事をやってきて今でも現役でもの作りの楽しさで充実しています。

■今後の目標など教えてください。

クロコのステーショナリーシリーズは、海外からも問い合わせが来るようになりました。
いづれ海外の展示会にも出展できることを夢見てがんばってます!

■メッセージ

日本の職人さんは、どうしても落語に出てくる八っあん、熊さんのように職業として評価が低く、なかなか若手がこの仕事に入って来ない地味な仕事です。
時代の流れで、昔のように丁稚奉公しての技術習得は受け皿もなくなり後継者の育成が、難しくなって来ています。ヨーロッパのマイスター制度の様な、資格を得た人に対しての評価を高めることが必要でしょう。
草加を中心とした皮革の産地の特異性をもっと有効に考えて、草加だから出来ることを考えていければと思っています。

そうか革職人会が発足した時の合言葉「めざせアジアのフィレンツェ」

□最後に

取材を通して、自らが若いうちから培ってきた技術やノウハウ、経験、人脈作りなどを、若手の育成にかけていらっしゃるお話が印象的でした。昔のような”技術を盗め”よりも、ストレートに教えていく指導方法を意識する鈴木さん。「社長自ら教えていく」そう言いながらも、なかなか時間が取れていないことを感じつつ、次代の革職人育成に賭ける情熱を感じました。(取材記)